先日の記事で、髪が痛んでると、人生で損をする!? 見た目の重要性について話しました。みなさん、見た目を良くするために、パーマや縮毛矯正、ヘアカラーなどをしますよね?
せっかく、見た目を良くしようとしたのに、パーマや縮毛矯正をしたせいで、髪がバサバサになってしまっては、本末転倒ではありませんか?
美容院でも説明があるかもしれませんが、『前処理のトリートメント』はご存知ですか? 僕の美容院では、カラーやパーマの施術がある方全員、この前処理のトリートメントをしてから、施術を始めます。
別料金になっていたりして、よくわからない人もいるかもしれません。そもそも、前処理トリートメントは必要なの?という疑問もあると思いますので、ここでご説明します。
前処理が大切な3つの理由
これまでの記事でも書いてきましたが、多くのお客様は、トリートメントをすると髪がきれいになると勘違いされています。
これは、美容師の責任だと思いますが、「最後にトリートメントをして、きれいな髪にしましょうね!」などの甘い美容師の声にそそのかされて、トリートメントをする場面はよくある美容院の一コマではないでしょうか?
しかし、ホームケアの基本で、何よりも大事なのはシャンプー!という記事でも話していますが、痛んだ髪は、治りません。
なぜ、トリートメントをするのか? というと、髪を痛ませないためです。そのためには、前処理のトリートメントがとても有効な手段になるんですよ。
トリートメントやカラー剤などを髪に浸透しやすくする
みなさんが思っているよりも、髪は強くて、硬くて、外部の異物に対して強いんです。一般的に、髪は痛む、イメージが大きいと思いますので、なかなか腑に落ちないかと思います。
そんな強固な髪だからこそ、カラー剤やパーマ液が、とても痛む強い薬剤になってしまいます。カラ―で髪の色を変えたり、パーマで髪の形を変えるためには、髪の中に薬剤が浸透しなければいけません。
大切な前処理の役割の一つに、薬剤の髪への浸透を良くすることが挙げられます。下の図のトリートメントは、特殊なつくりのトリートメントです。
引用:リトルサイエンティスト
通常、洗い流さないトリートメントとして、とても効果的な、お店でも売られているトリートメントですが、カラー剤やパーマ液を髪の奥まで浸透させる手助けをします。もちろん、トリートメント剤の浸透も助けてくれますので、髪のまとまりも良くなります。
髪の栄養成分の流出を防ぐため
パーマ液やカラー剤が、髪の奥まで入っていくということは、髪の中にある成分も外に出やすくなっているとは思いませんか?
もちろん、その通りで、それが髪が痛む原因なのです。では、髪を痛ませないようにするためには、髪の内部の成分が、出づらい環境であれば、痛みが少なくて済むことになります。
パーマ液やカラー剤のを使うと、髪の表面の浸透圧が低くなり、内部の成分が流出してしまいます。そのため、髪の成分である、ケラチンやCMC(脂質のようなもの)を使って前処理をします。そうして、髪の表面の浸透圧を高く置くと、髪の内部の成分の流出を軽減することが出来ます。
引用:リトルサイエンティスト
キューティクルを過剰に立ち上がらせないため
「キューティクルが無くなってる!」なんて目に見えないですが、キューティクルはとても大切な一部分です。なぜかというと、『きれいな髪=キューティクルが存在する』と言っても過言ではないからです。
そして、一度無くなったキューティクルは帰ってきませんよ。『これが、痛んだ髪は治らない』の正体です。ホームケアの基本で、何よりも大事なのはシャンプー!という記事でも説明していますが、髪は爪に似ています。一度かけた爪は、元に戻らないですよね? それと一緒で、目には見えていないけど、欠けたキューティクルは、元には戻りません。
そんなキューティクルを守るためには『キューティクルを過剰に立ち上がらせないようにする』ことが大切です。カラー剤やパーマ液を髪の内部に浸透させるためのアルカリ剤を使うと、キューティクルは、立ち上がっていきます。
適度にキューティクルが立ち上がっていればいいですか、髪の状態や髪質などによって、過剰に立ち上がってしまうと、髪がめくれあがって、剥がれてしまいます。
これを、防止するためには、髪が張り付きやすい、高分子の疎水型PPTを使うことで、キューティクルが過剰に立ち上がることを防いでくれます。高分子の疎水型PPTとは、前出したケラチンです。(特殊な使用になっています)
前処理せず、ダメージ毛にパーマをかけた場合
前処理に疎水型PPTを用いた場合
引用:リトルサイエンティスト
圧縮蒸気(パルッキー)の効果は?
前処理のトリートメントは、このように効果的な役割があるのですが、そもそも、この前処理のトリートメントも、髪へ浸透しづらいのです。それを、現代のテクノロジーを使って、より前処理を効果的に行う器具が、圧縮蒸気(パルッキー)です。
引用:直本工業
薬剤(トリートメントやパーマ、カラー剤)の通り道
パルッキーも、前処理トリートメントと同じように、薬剤の通り道を作ってくれます。しかも、水です。パルッキーから出る水蒸気は、湯気のおよそ30,000分の1です。3,5気圧、145℃の過熱水蒸気で、微粒子になっています。
みなさん、ドライヤーの風口をタオルで塞いだことはありますか? たぶん、ないですよね? 僕は、実験として、試したことがありますが、風が出てきません。そのまま、ドライヤーをオンにしておくと、オーバーヒートを起こしてしまい、大変になるので、気をつけて下さいね。
一方、パルッキーの水蒸気の噴出口にタオルで塞いでみたらどうなるでしょう? この流れで行くと、答えはわかっていると思いますが、タオルを通過して、水蒸気が噴き出してきます。空気よりも粒子が細かいのです。
その微粒子の水蒸気を使って、いろんな薬剤の通り道を作ってくれることが、パルッキーの役割のひとつです。
引用:直本工業
潜熱効果
最近は光景が少なくなりましたが、以前の美容院は、温める機械の出番が多くありました。最近は、頭皮や髪への刺激や、均一に熱があたらないなどという欠点があり、使われることが少なくなりましたが、熱を与えると、カラー剤やパーマ液の薬剤の反応が高まってくれます。
簡単に言うと、エネルギーが高いほうが、薬剤がパワーアップするんですね。パルッキーからでる水蒸気は、3,5気圧、145℃の熱量を持っていて、通常の100℃水蒸気の6,4倍のエネルギーを持っています。
この潜熱効果のエネルギーのおかげで、髪の成分のケラチン、CMC(脂質のようなもの)などで前処理やトリートメントをするときに、ラメラ液晶構造へ再構築されたり、乳化作用が起こります。
そうすることで、髪へのトリートメントの定着強化、保湿力アップを期待することが出来るのです。
引用:直本工業
水分をしっかり蓄える
そして、単純に保湿にもなります。超微粒子の水蒸気が、傷んでいる毛髪でも隅々まで入り込み、水分を行き渡らせます。そのままであれば、微粒子の水蒸気は、外に逃げてしまいますが、髪の内部で結合して、そのまま出られなくなる水蒸気も出てきます。
通常は、髪の外部から入ってきた水分は、乾かすとすぐに乾いてしまいますが、髪の奥まで入り込んだ水分は、1,2週間ほど髪の内部で水分を保持してくれます。
引用:直本工業
まとめ
ここまで、話を聞いてくださって、ありがとうございました。美容師さんによっては、簡単に終わらせる前処理トリートメントかもしれませんが、とても深い役割があることを感じることが出来ましたか?
今回は、前処理が大切な3つの理由について話しました。
- トリートメントやカラー剤などを髪に浸透しやすくする
- 髪の栄養成分の流出を防ぐため
- キューティクルを過剰に立ち上がらせないため
あと、圧縮蒸気(パルッキー)についても説明いたしました。
- 薬剤(トリートメントやパーマ、カラー剤)の通り道
- 潜熱効果
- 水分をしっかり蓄える
本当に重要なヘアケアは、髪を痛ませないこと。痛んでしまうと、二度と元のきれいな髪には、戻らないので、しっかりとヘアケアしましょうね。
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